16回目の春

6/87
前へ
/100ページ
次へ
「スーパーぐらい一人で行ってよ…」 「うぅぅ…志季ちゃんは又ママに迷子になれって言うの~?…しくしく」 そう母さんはコンビニに以上の広さの所に行くと、必ずと言って良い程…迷子になる。 そして…『迷子のお知らせです。雪空志季様、お母様が迷子になっておられますので、迷子センターまでおこし下さい』 と呼ばれるのである。 「パァパ~志季ちゃんがいぢめるぅ~」 と言って母さんは父さんにしがみつく。 「し、志季!頼むから母さんと一緒に買い物に行ってやってくれっ!」 「…わかったよ…行くよ、行きますよ」 「わぁ~い♪あ・り・が・と・う♪志季ちゃん大好きぃ~」 そう言って母さんはジャンプして僕にしがみつく。 「すりすりすり~」 母さんは僕の胸に顔を擦りつけてくる。 「か、母さんっ!止めてよっ!」 「なぁにぃ~?照れてるの?かっわいいぃ~♪」 そして強く頬を擦りつけてくる。 家族の間では『すりすりモード』と言われていて何故か僕にしかしない。 「い、行ってくるぞ…頑張れっ!(僕にしか聞こえない様に)」 父さんはそう言って玄関を出て仕事に行ってしまった。 つまり…僕を見捨てて生き延びた。 「父さぁぁぁぁん!」 僕の叫びがリビングに木霊した。 この後…30分後に僕は解放された…
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

329人が本棚に入れています
本棚に追加