16回目の春

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「さぁ~しゅっぱ~つ♪」 母さんの一言で玄関を出て新オープンのスーパーに向かう。 「るんるんるん♪」 母さんは上機嫌。 「なぁ、もしかして…歩いて行くのか?」 「ん~違うよ。電車に乗って二つ目で降りて、20分ぐらい歩いたとこにあるの~」 「車…使おうよ」 「えぇ~~~~」 母さん頬を膨らまている。 「志季ちゃんはママの運転が怖いって言ったから…こうして歩いているのに…ぐすっ」 「わわわわっわかったわかったから、うん、歩いて行こう」 母さんの顔が笑顔に変わり再び歩きだした。 「るんるんるん♪」 母さんの買い物の時のテンションは異様に高い。 「ぎゅ…」 母さんは僕の右腕にしがみついてきた。 「う、うわぁ~」 僕は慌てて母さんの腕を振りほどく。 「うぅ…志季ちゃんはママの事…嫌いなのね~~~」 「い、いや…そんな事はないけど…」 「だったら何で振りほどくの~?」 母さんは上目使いに見つめてくる。 「い、いきなりで驚いただけだよ…本当に…」 「本当に?」 「本当に」 「わぁ~~~~い♪」 母さんはそう言ってまたしがみついた。 「ぎゅ~~~」 そして強く力をいれしがみつく。 (母さん…膨らみが…当ったる…) 「ぎゅ~~~」 胸の膨らみが腕に当るなか僕と母さんは駅に着いた。
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