16回目の春

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「え~き♪え~き♪」 母さんはニコニコ笑顔で二人分の切符を買っている。 僕は振動する携帯を開いた。 『おに~ちゃ~ん…今何処?杏は部活休憩中だよ~』 (………それで?) 僕は携帯を閉じた。 しかしまた振動する。 仕方ないので携帯を開いた。 『何で~?何ですぐに返信してくれないの~?…ぷんっ!』 (『…ぷんっ!』?………は?) またきそうなので『悪い悪い…今駅だ』とうち返信した。 携帯を閉じようとしたら…振動。 (返信…速っ!!) 内容は… 『……お母さんと?』 という一文。 『あぁ…そうだ』 とうち返信。 そしてすぐに返信がくる。 『……あとでじ~~~~~くりと聞かせてもらうからね!』 (………何を?) とりあえず携帯を閉じる。 携帯をズボンのポケットにしまい前を見ると母さんの顔があった。 母さんはわざわざ椅子を持ってきてそれにのり、つま先立ちをして僕の顔を見ていた。 「な…何?」 「ん~何回呼んでも返事がなくて~携帯と向き合ってたから~何かな~…って」 「あ…御免御免」 「いいもん!ママが嫌いなんでしょ!いいもん…ママは…ママは泣いてやる~…ぴぃぃえぇぇぇん!」 母さんは本気で泣き出した。 「あわわわわ…本当に本当に御免なっ!…なっ!…母さん泣くなよ~頼む」
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