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「え~き♪え~き♪」
母さんはニコニコ笑顔で二人分の切符を買っている。
僕は振動する携帯を開いた。
『おに~ちゃ~ん…今何処?杏は部活休憩中だよ~』
(………それで?)
僕は携帯を閉じた。
しかしまた振動する。
仕方ないので携帯を開いた。
『何で~?何ですぐに返信してくれないの~?…ぷんっ!』
(『…ぷんっ!』?………は?)
またきそうなので『悪い悪い…今駅だ』とうち返信した。
携帯を閉じようとしたら…振動。
(返信…速っ!!)
内容は…
『……お母さんと?』
という一文。
『あぁ…そうだ』
とうち返信。
そしてすぐに返信がくる。
『……あとでじ~~~~~くりと聞かせてもらうからね!』
(………何を?)
とりあえず携帯を閉じる。
携帯をズボンのポケットにしまい前を見ると母さんの顔があった。
母さんはわざわざ椅子を持ってきてそれにのり、つま先立ちをして僕の顔を見ていた。
「な…何?」
「ん~何回呼んでも返事がなくて~携帯と向き合ってたから~何かな~…って」
「あ…御免御免」
「いいもん!ママが嫌いなんでしょ!いいもん…ママは…ママは泣いてやる~…ぴぃぃえぇぇぇん!」
母さんは本気で泣き出した。
「あわわわわ…本当に本当に御免なっ!…なっ!…母さん泣くなよ~頼む」
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