リルケ的薔薇の詩

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 隠(こも)り沼に住む  金糸雀(カナリア)が  その紅い觜で蠍を噛み砕いた。  「空を飛んでた頃だって?」  金糸雀は胸元の乱れた着物を  怠げに直しながら  遥か彼方の天の原を見上げる。  そして自嘲的な笑みを  幸薄な顔へ浮かべ、  茂みの中へと歩いて行った。  
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