黒猫

2/4
395人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
「別に、今始まった事ではないだろう? 大体君はね」  黒猫は金色の爪を真っ赤な苺へと突き刺した。そして小皿に盛られた生クリームをその苺にべったりと付けてから、黒猫はそれを小さな口へ運ぶ。  私は紅茶を啜りながら、黒猫のひくひくと動く髭を眺めていた。生クリームが黒猫の髭や口の周りに沢山付いている。黒猫は器用に右手を使ってその生クリームを拭き取ると、生クリームだらけになった右手をぱくっと口の中へ突っ込んだのだった。  
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!