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「……まったく。 君の目を見ればすぐに分かるよ」
黒猫は溜息混じりに続ける。
「今君は僕に嫉妬したね? 自分に自信のない奴はいつも他人を嫉妬と嫉みを絡ませながら観察するのさ。 そうやって自分がどうあるべきかを模索している。 けれど結果は同じ。 結局また自分を嫌いになるだけ」
黒猫はどこから出してきたのか、手慣れた手つきで細長い煙草を口にくわえ、マッチをこすり火を付けた。
「……そうかもしれない」
私は素直に認める。すると黒猫は満足気に微笑み、私の頭を優しく撫でてくれた。
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