クーラーのない部屋~序章~

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クーラーのない部屋~序章~

夏はとても暑い。ましては、文明の利器を排し平安時代や鎌倉時代とさして変わらないような暮らしぶりをおくる私にとってはなおの事である。 そして庭では、蝉が自分の存在を誇示するかのように鳴いている。 これだけでも、私の体感温度を三度は上げてくれているように思う。 きっと奴らを駆除すれば温暖化対策に一定の効果を挙げるはずである。 いや、そうに違いない。 そういえば、奴らが埋まっている上にアスファルトとかセメントとか敷いたら出て来れないような事を聞いた事がある。 きっと奴らは長きにわたる雌伏の時を越えて、やっと我らの時代だと思い、羽ばたこうとした矢先よもやこんな事になろうとは想像もしていないことだろう。 その時一体何を考えるのだろうか・・・。 自分の理想が脆くも崩れさり、今までの雌伏の時が無駄になってしまう現実を・・・。 少々話が逸れたが、まぁとにかく私は夏が嫌いだ。暑い・うるさい・暑い・・・とにかくろくな事がない。 こんな時は妄想に耽るのが1番である。 青い砂浜・ビーチパラソル・トロピカルフルーツに、横には・・・おっとこれ以降は自粛することにしよう。 他愛のないありふれた男の妄想を語ったところでアレだろうから。 まぁとにかく諸君にはしばし、私の暇つぶしがてらの話に付き合ってもらうとしよう。 何せ夏と言ったところで暇だから・・・
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