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「大体、才蔵に彼女がいることに何であんたがショック受けてんの」
「俺は…」
首を傾げる木島に、藤谷は口篭って…ちらりと俺を見た。その乙女みたいな仕種ゾッとすんですけど。
「俺は…才蔵の顔のファンなんだ!」
…聞くんじゃなかった。
木島もきっと同じことを考えてる。
「誰に告白されても断ってたから安心してたのに、まさか既に誰かのお手付きだったなんて―…へぶっ!」
藤谷に、持ってた教科書を押しつけて黙らせて…深くため息をついた。
くだらない話にも気は紛れなくて、無性に圭太に会いたくなる。
「あいつ…俺にされるの嫌なんだ、多分」
誰に聞かせる訳でもなく呟く。もの思いに耽ると昼休みの喧騒が少し遠くなる気がした。
「俺が触ったら、いっつも困った顔して目をそらせてさ…。それに可愛いって思われるのも嫌みたいで」
でも…
「そんなの無理だし。どうしたって可愛く見えちまうし。俺…めちゃくちゃ好きなのに…あいつの嫌がることばっかしたくなるんだ。
ダメだ…嫌われる。
…フラれちまう…」
こうしている間にも、圭太が俺から離れていく気がして…なんかもうマジで泣きそう。
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