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膝についた腕で頭を抱えて俯く。情けない姿に、藤谷も木島も呆れているだろうけれど…別にどうだっていい。他の誰にどう思われようと、圭太にだけ嫌われたくない。
「びっくり…才蔵、その子のこと好きすぎ」
藤谷は「俺まで照れてきた」と言ってさっきの教科書で顔を扇ぎだした。横目にそれを眺めていると爪先をかるく蹴られ、顔を上げた先…木島が「バカね」と笑っていた。
「好きな人に、触られるのが嫌な子なんていないよ」
「けど」
「才蔵は嫌なの?」
俺が?…嫌な訳ない。
圭太が俺に手を伸ばしてくれたらきっと目眩がするくらい嬉しい。
「嫌われてないかな…」
「うん。大丈夫」
「ありがと」
隣で藤谷が「冴子に惚れるなよ」と言った。頬をうすく染めた木島が、照れを隠すように藤谷を蹴飛ばすのが可笑しくて…少し笑った。
目を閉じれば、圭太の体温だって思い出せそう。
付き合い始めて、俺はどんどん贅沢になってる。
圭太にもっと触りたい。キスをしたい。好きだと言いたい。でもそれ以上に…好きだと言って欲しい。
圭太に、愛されてる実感が欲しい。
「…切ねー…」
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