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「で、でもね…兄さん…この子はクラスで一人だった僕に優しくて…」
もう息もしてない、血も無くなって真っ白になったクラスメートを見つめる。
そう…この子はクラスで一人だった僕にとても優しかった…
『アシュリー君て言うの?可愛いい名前ね。』
『アシュリー君、さっき授業でここ指されたとき分からなかったね。教えてあげるね。』
『アシュリー君、この本貸してあげる。好きだって言ってたでしょ?』
目を閉じれば思い出す彼女の優しい笑顔…
「アシュリー。人は誰しも仮面を被っている。俺以外の奴を簡単に信じるな。この女もまたお前に優しく接しておきながら裏切ろうとしていた。」
必死に僕に語りかける兄さん…
僕のために…こんなにも必死になって…
「分かったよ。兄さん。僕を守ってくれてありがとう。」
兄さんの手を頬にすりよせながらお礼を言う。
こんなにも僕を想ってくれている兄さんを誰が疑おうか…
兄さんは僕のために身の危険もかえりみず守ってくれたんだね。
すごく嬉しいよ…
「アシュリー。」
アシュリーを優しく抱きしめてやる。
アシュリーの肩に顔を埋めると、口端をつり上げる。
全てはアシュリーを信用させるためのウソ…
アシュリーに近づく奴は誰であっても容赦なく殺す。
それが女であったとしてもな…
あの女はアシュリーに好意を寄せていた…
アシュリーを好きでいるのは…一緒にいていいのは俺だけだ…
他の奴らに愛しいアシュリーを渡せるか…
汚い手でアシュリーに触れられる前に皆…殺してやる…
「兄さん、どうかしたの?」
「いや…アシュリー眠いだろう。そろそろ寝ようか。」
「うん。」
アシュリーの肩を抱き一緒に部屋へと向かう。
本当の仮面を隠しているのは自分なのかもしれない…
終わり
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