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翌日
収録初日。
「は~い。じゃあ、次のシーンもう一回ねぇ~。」
快晴な天気のもと、監督の声が響きわたる。
アクションシーンのやり直しは、今ので二回目だ。
迫力のあるアクションシーンのすごさに俺は目を奪われて自分の仕事がおろそかになってしまい先輩方に怒られていた。
「ったく。しっかりやれよ、チビ。」
「は、はい💦すみません💦」
深々と先輩に頭を下げる。
くそっ、先輩だから怒らねぇけど、これが同僚だったら「チビ」って言っただけでも殴りかかっていたところだったぞ💢
「お、聖矢はさすがだなぁ~」
アクションシーンを見ていたADの1人が聖矢君の名前をだしたことに俺もつい見てしまう。
次々と悪役を倒していく聖矢君は、まさに昔から俺が憧れていたスーパーマンで…
『子供を泣かす悪い奴は俺達メガレンジャーが許さない!!』
聖矢君の正義感溢れる表情はまさに俺が探し求めていたスーパーマンだった。
「はい。いいねぇ。今の調子で明日も頑張って。じゃあ、今日はこれで終わり。」
監督の合図で皆片付けの作業に入る。
俺はタオルと飲料水を持ってすぐさま聖矢君の元へ駆け寄る。
「お疲れ様です!これどうぞ!!」
「いらねぇ。」
即答で断られた…
「さ、さっきかっこ良かったですよ!まさに正義のヒーローにぴったりですね!」
ニコニコと笑いながら話す俺を見ると、聖矢君は鼻で笑った。
あれ?なんか、バカにされてる…?
「あんなだせぇ役なんか面倒くさいからやりたくねぇんだけどな。」
「なっ…」
思いもよらぬ言葉が聖矢君の口からでたことに俺は驚いて立ち止まってしまう。
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