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  そして僕は今、公園の中心で立ち止まり、雨ざらしのブランコやベンチ、遊具を見つめている。 傘にかかる雨の重みが、今の自分の心情に重なって思えた。   時折通り過ぎる車のライトが、幻想的に公園を彩る。   その時、ある光景が僕の目に飛び込んだ。 この後、繰り返し思い出す事になる情景。   僕は自分の世界に没頭するあまり周りが見えてなかったようだ。   公園を流れるライトに一瞬浮かんだ人影。 薄暗い街灯に照らされた奥のベンチで、少女が一人座っていた。 霞んだ街灯の光が雨に揺れて、うつむいたままの少女を儚げな幻のように映している。   その少女は傘もささずに、雨に濡れたままうつむきピクリともしない。   まるで打ち捨てられた人形のようだ。   自然と僕の足はその少女に引き寄せられていた。   近づくにつれ、少女の生気を感じない白い肌や、雨に濡れて張り付いた衣服や、容赦なく打ち付ける雨が弾けて上がる白い蒸気の靄が鮮明に脳裏に焼き付いた。   僕はしばしその少女に見とれていた。 あまりに儚く無垢で純白な少女。   そのあまりに脆く、消えてしまいそうな命の灯火が、少女の生命の輝きをより強く光らせていた。   何が少女をここまで幻想的に輝かすのか? 少女のもつ人生の背景に、深くひきつけられていく自分を感じた。   「君、大丈夫?」   ようやくかけた言葉にも、少女は反応しなかった。 時が止まったようにただただ、雨の音だけが響いていた。   永遠とも思える時間の後、ようやく思い出したように少女はうつむいた顔を上げた。   コールドカラーの瞳がこちらを向く。 その瞳に光彩は無く、ただ虚ろに世界をありのままに写しとっていた。   生気を無くした瞳の奥に吸い込まれて行くような感覚を覚えた。 魂の抜け落ちた人形のような少女。   純真無垢なその風貌は、純白と例えるより、何の色彩もない白。 無色透明だった。 世界に溶け込むように希薄な少女。 少女はどこまでも透明で、幼く見えた。   15歳くらいだろうか?   少女はそんな僕に気付かないように囁いた。   「世界の果て」
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