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「…………おい」
すると、突然目の前の拳銃が声を発した。
しかし、真実はそうでなく、その拳銃を持つ者の声であった。
男はゆっくりと視線をずらし、声の主へ目を向けた。
「………よぉ。やっと気付いたかよ」
目線の先で、妙な男が喋り出した。
……実に、でかい口である。
「起きるまで、随分と待ったんだぜ……」
男は、その実にでかい口を世話しなく動かして喋る。
男の瞳が自分を捉え、びくびくっと痙攣するように動いた。
……やけに大きい目だ。鬱陶しい。
その鬱陶しい目は私を掴んで離さない。
「……なぁ。
これが何か―――…分かるよな…?」
男は、手に持った拳銃を見せびらかせて言う。
鼻息が荒く、ひくひくと鼻が微動する。
………やはり、鼻もでかい。汚らわしい。
「この意味を…理解できるよな?」
男の汚らわしい鼻が、また少し動く。
私は男に嫌悪を抱き始めていた。
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