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「………分かるさ」
私は答える。
「そうか…。なら、話は早いな……」
「しかし、だ。分かった所で何なのだ?」
私は男に質問を返してやった。
男は少し戸惑い、こう受け答える。
「……まだ分かってないようだな…」
「十分理解しているとも。
その拳銃を私に突きつけているのは、つまり脅しだ。
それを盾に、私から何かを聞き出すつもりだな?」
私の完璧な回答に、男はぐぅ、と言葉に詰まる。
しかし気を取り直すと、また私に喰ってかかった。
「……そうとも。
私の目的こそ、お前が述べた事さ。
……さて、ならすぐにでも聞くとしよう。
―――『アレ』は、どこにある…?」
「……『アレ』?
『アレ』とは一体何だ?」
「とぼけるな」
「とぼけてなどいない」
「黙れ。『アレ』の場所を早く吐くのだ」
「だから、そんな物は知らないと………?」
私が男に迫ろうと身をよじらせたが、何故か身体が動かない。
くっくっく、と男が笑う。
気が付けば、私は後ろ手に椅子にくくりつけられていた。
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