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「・・・なあ、パンツ、わざと見せてたのか?」
先ほどと同じコソコソ声で聞いた。
俺は前を向いたまま、サエはうつ向いたまま、手は握ったまま。
しばらくして、コクン、と横で頷いた。
「私の事、女って見てくれないから・・・。小説とか読んだら、色気で落とせって・・・。」
それは色気とは違う、つっこもうとしたら、乗客が押し寄せてきた。
町も近い。
さらにコソコソ声。
「なのに、中々気付いてくれなくて・・・私、間違えたのかなって。」
乗客はどんどん増える。
俺はサエの手をしっかり握った。
今まで気付いてやれなくてゴメンの意味を込めて。
「サエ、後であの毛抜かせてくれ。」
乗客で込み合う中、俺はサエにグーで殴られたわけよ。
こうして、デルタ地帯の謎は解決した。
まあ、こっからが大変だったよ?
ど田舎だからさ、付き合うのすぐバレたし、サエの父ちゃん恐ぇから、なかなか手出せなかったし・・・。
今?
今も付き合ってるよ。
こないだ念願の初、させてもらったし。
でもなあ・・・。
これは俺だけの秘密なんだけど・・・。
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