愛の武器

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誠の体躯はしかし、その場から動くことをやめた。 「…………」 佐土谷峻の右手には、黒く光る拳銃。 「佐土谷……?」 「センチな与太は、そこまでだ太賀。俺がムチ一本で新宿の街に舞い戻ったとでも思ってたのか。てめえが何をトチ狂って俺にケンカを挑んで来たのかは知った事じゃねえ……。俺は団員百名を束ねるボスなんだぜ?」 「……俺を殺す、か」 誠はゆっくりと体勢を下げた。「まさに、生身の実力に衰えを覚えて鉛玉にすがったイタリアンマフィア、ゴッドファーザーそのままだな」 「何とでもほざくがよかろうぜ太賀誠。俺は知ってのとおり、右の親指がねえ……このどでかい銃身のマグナム・フォーティーフォーを握り、左手には投げナイフの傷を負い、まともに人間を狙い撃ちできるかどうか…… 賭けてみちゃどうだ?」 「…………」
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