黒猫

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黒猫 混沌の暗闇の中一匹の黒猫がいた その眼は金色に輝いていた その黒猫は 小さな鈴のついた 首輪をしていた 君どこからやって来たの? ふと そんなことを思う いつも一人で 誰にも縛られていない 野良猫に黒猫は夢を抱いた 「自由に旅をしてみたい」 それが黒猫のたった一つの願い 家を抜けだし丘から 毎日外の世界を眺めていた 黒猫はこのまま世界に飛び出したい! そう思っていた いつでも 外の世界に羽ばたいて行ける でも このまま家を出て行ってしまったら 今まで育ててくれた 飼い主を悲しませてしまう そんな心が自分自身のたった一つの夢を縛り付けた 今日も黒猫はいつも丘から外の世界を眺めていた 突然 「外の世界に行きたいのかい?」 そんな声が後ろから聞こえた 黒猫は振り向いた そこには自分の飼い主がたっていた 黒猫はこの場から逃げ出したかった 自分の大切な飼い主に嘘をついていたから 「旅立ちなさい」 飼い主は言った 黒猫は嬉しくなり 涙を流した 頭を下げ 黒猫は丘から一陣の風となって 去って行った 今黒猫の新しい幸せを探す旅が始まった 黒猫が去ったあと 丘には黒猫の流した 涙の結晶が落ちていた
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