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それを察したかどうかはともかく、パオルは口を開く
「ただ怪我を治した彼はゼロアースに下りてもらう事になるけどね。君は彼と離れてもらう……とは言え、殺さないだけ有りがたく思って欲しい。なにより今の彼は半日保たないだろう。迷っている暇はないと思うけどね」
しっかり釘を刺した上で念押しされてしまった
自分で怪我をさせておいて酷い言い分だが、今の螢にそこまで考えている余裕はなかった
繭海から止めど無く溢れ出ていく血液
伝わる熱がみるみる冷えていく体。顔色は白を通り越して青くさえあった
今、話しをしているこの僅かな時でさえ惜しくてならない
おそらく、半日さえ保つかどうか……
螢は、息を飲み込み唇を噛みしめてから一度だけ、倒れている繭海に目を落とす
そして顔をあげる
意を決した瞳がパオルを見据えた
幾つもの視線が集中するのを感じながら目を瞑り、大きく息を吸い込んで口を開く
「……分かったわ、従います。だからッ……だから、マユミくんをたす……っ」
「ダメだッ」
「?!」
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