召喚……そして離別

15/20
前へ
/187ページ
次へ
それを察したかどうかはともかく、パオルは口を開く 「ただ怪我を治した彼はゼロアースに下りてもらう事になるけどね。君は彼と離れてもらう……とは言え、殺さないだけ有りがたく思って欲しい。なにより今の彼は半日保たないだろう。迷っている暇はないと思うけどね」 しっかり釘を刺した上で念押しされてしまった 自分で怪我をさせておいて酷い言い分だが、今の螢にそこまで考えている余裕はなかった 繭海から止めど無く溢れ出ていく血液 伝わる熱がみるみる冷えていく体。顔色は白を通り越して青くさえあった 今、話しをしているこの僅かな時でさえ惜しくてならない おそらく、半日さえ保つかどうか…… 螢は、息を飲み込み唇を噛みしめてから一度だけ、倒れている繭海に目を落とす そして顔をあげる 意を決した瞳がパオルを見据えた 幾つもの視線が集中するのを感じながら目を瞑り、大きく息を吸い込んで口を開く 「……分かったわ、従います。だからッ……だから、マユミくんをたす……っ」 「ダメだッ」 「?!」
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

195人が本棚に入れています
本棚に追加