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パシャ …
海のすぐ側にある湖は、空の青を反射させるほど澄んでいた
そこで水浴びを終え、着替えようとしていたシャオラスの目に映り込んできた光。ゆっくりと海に向かって落ちていく
(?……何だい、ありゃ…)
シャオラスは濡れた体も気にせず、素早く上着だけを羽織ると海辺に向かって駆けて行った
人気が無い林道とはいえ、全裸に上着一枚で全力疾走を何の抵抗も感じていないのは、かなり問題がある気もするのだが
走っている間に、長く伸ばした砂色の髪を器用にダンゴで纏めて一括りにする
浜まで来ると、上着を投げ捨て海へ飛び込んだ
光はさほど岸から離れていない位置に落ちていくのを確認する
「(あれなら足が立つね)……人間か?」
シャオラスは光が海に辿り着く前に待ち構えた
光に包まれたモノが子供と悟っても動じた風も無く手を伸ばして、横たわる体を支えるが重みがちっとも感じさせない
しかし彼女の腕の中に収まると、光は消えていって一気に重力が戻る
…が、子供とは云え、その体重は女性には少なからず重さに顔をしかめる程度はあるはずだが、シャオラスに至ってはお構いなしに軽々と抱き上げたまま岸に向かって歩き出す
一瞬、血だらけの子供、繭海を認めて眉を潜めた位だった
(空からの訪問者にしちゃやけにひどい怪我してるじゃないか。関わり合いたく無いのが本音なんだがね……まぁヒマだし♪退屈凌ぎ位には役立つだろ)
今度こそ着替えると、繭海を抱え家路に着いた
(先ずは傷を塞がんと死んじまうね)
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