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「ひっ グッ…ぅあアアアッ!! ッ……あ…あぁァ」
すでに悲鳴も続かない繭海
涙で霞んだ視界の中には、一瞬で移動したシャオラスの高速移動に驚く暇なく、目の前は真っ白になった
自分を股ぐ様に馬乗りの態勢になり、殺気立つ冷ややかな視線を向けている。
片手は繭海の傷口に押し当てられて、その痛みは抉る様に締め付けられた
声を上げる事すらままならず、酸素を求めて口をパクパクさせるのが精一杯
苦しむ姿を気にも止めず、手加減無しのまま耳元で囁く
「アンタ、ラビリンスの人間か?」
「ヒュ… ?ラビ、りん……ハッ あ…」
質問の意味が解らない
理解していたとしても応えられる状態では無かった
「ヴああぁっッ!」
ツン裂く様な悲鳴、目は見開かれ体を仰け反らせた
シャオラスは僅かに手の力を込めてきて
「もう一度聞く、ラビリシアンなのか?」
それが分かっていて質問を容赦なく繰り返す
「は… ヒュ …っ……知らな… ハ、ぁ… 」
混濁した意識の中、無意識に首を横に振り否定を訴える。目には涙が浮かんでいて「助けて」と懇願する
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