シャオラス

5/16

195人が本棚に入れています
本棚に追加
/187ページ
「ひっ グッ…ぅあアアアッ!! ッ……あ…あぁァ」 すでに悲鳴も続かない繭海 涙で霞んだ視界の中には、一瞬で移動したシャオラスの高速移動に驚く暇なく、目の前は真っ白になった 自分を股ぐ様に馬乗りの態勢になり、殺気立つ冷ややかな視線を向けている。 片手は繭海の傷口に押し当てられて、その痛みは抉る様に締め付けられた 声を上げる事すらままならず、酸素を求めて口をパクパクさせるのが精一杯 苦しむ姿を気にも止めず、手加減無しのまま耳元で囁く 「アンタ、ラビリンスの人間か?」 「ヒュ… ?ラビ、りん……ハッ あ…」 質問の意味が解らない 理解していたとしても応えられる状態では無かった 「ヴああぁっッ!」 ツン裂く様な悲鳴、目は見開かれ体を仰け反らせた シャオラスは僅かに手の力を込めてきて 「もう一度聞く、ラビリシアンなのか?」 それが分かっていて質問を容赦なく繰り返す 「は… ヒュ …っ……知らな… ハ、ぁ… 」 混濁した意識の中、無意識に首を横に振り否定を訴える。目には涙が浮かんでいて「助けて」と懇願する
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

195人が本棚に入れています
本棚に追加