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半ば無理矢理部屋から追い出され、重い荷物の様な身体を引きずりながら嗽を済ますが、部屋に辿り着く前に床に膝を崩してしまう
限界だった
ちょうど部屋から汚れたシーツを抱え、シャオラスが出て来た
「終わったから、寝るならベットに行きな。まだツライんだろ?ンな所で寝るんじゃないよ!」
座り込んでいる繭海を認めると、手を貸す事も無く平然としたまま怒鳴られる
しかし大半の原因はその誰かさんであるのはともかくね。優しいんだか、冷たいんだか、判断は難しい
「‥‥‥」
それでも先程の殺気が嘘の様な柔らかい物腰に彼女を疑いたくなった
(どっちが本当の性格なんだろう?)
……恐らく、両方。ソレを知るのはもう少し先の事
壁伝いでやっと部屋のベットヘ潜り込めた
「‥‥ラビリンス?」
ホッと息をついて落ち着き、ふとシャオラスの言葉を思い出す
……のと、彼女がスープ片手に戻って来たのは、ほぼ同時
「思考は生きてるね。さっきはゴメンよ、ラビリシアンじゃなきゃ良いんだ。奴らは厄介だからね。
だが奴らでないのなら、アンタは誰なんだ?どっから降ってきた?」
この場合“誰”とは名前の事では無い事位繭海でも分かった
が、なら何が彼女は知りたいのかが判らない
「‥‥?」
言葉に迷っていると、シャオラスは答えを待たずして、テーブルにスープを置く
「食うかい?」と尋ねられたが、それを「食欲が無い」と首を振って断った
シャオラスも「そうか」と無理強いをせず、納得して椅子へ座る。繭海もベッドの中、起き上がっても平気の様だ
「さぁって、単刀直入に聞こうか。アンタは無界の人間でもなさそうだね?そして迷宮の者でもないと言う……なら一体何者なんだい?」
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