シャオラス

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(そうか、やっと辻褄が合った。コイツ等は奴らの占喚教で連れて来られた異界人。何も知らないはずだ。聞くだけ時間の無駄。 ……しかし本当に厄介な拾い物だったね、花嫁ときたか) シャオラスは今更、繭海を拾った事を予想しながらも心から後悔して頭をうなだれた そんなシャオラスの心情を知ってか知らずか、繭海は淡々と説明を続けていた 「ボクは刺されてフネから落とされたけど、螢は捕まったままです。奴らはあの子を殺さない」 確証は無いのに確信めいて断言する繭海に、否定しなかったのは彼の言葉が願いだけでのモノでないことを知っているから 「(異界からの花嫁か)飛行系はかなり高度な錬術だ、アンタ使えんのかい?」 繭海は怪訝に眉を潜めて小首を傾げてみせる 「レン術って何なんですか?あの人たちも言ってましたけど」 質問されたのに質問を返す形になったが、シャオラスは怒るどころか意外そうにシゲシゲ顔を覗き込み「使えないのかい?」と尋ねてきた 眉間に皺を寄せたシャオラスの質問に頷いて「チョーノーリョクですか?」と聞き返す 「……まぁ、そんなモンだ。別名は錬術!(なら、あの力は別の干渉者の仕業なのか?)アンタの連れってのは使えるかい?」 「ボクたちは普通の人間です。そんな凄い事できません」 はっきり否定する声を疑うつもりはない 「(どうやら本当に錬術自体知らないのか。つまり異界では珍しい物って事だ。でも奴らがソレを知らずにわざわざ貴重な占喚教を使ったのならおかしな話。 花嫁に最も相応しい者と考えて相当な技術者を使って喚び出してそうなモンなのに……って、おや?)つまりはアンタも一緒に喚ばれたという事だろ?」 徐ろに当たり前の事を聞かれ瞬いた 「は、い…そうです。ボクは予定外に喚ばれたと言って殺され掛けました」 (そりゃそうだろうさ。しかし、全く無関係な者まで簡単に喚ばれるはずないんだけどねぇ。 力を持っているならいざ知らず、こんなガキ一匹…) チラッと繭海を伺ってみる 普通の子供 話を聞いているうちに、深入りを望み始めたのは単なる興味 「アンタが異界者である事は理解した」 「イカイ者?」 「黙ってな、順を追って教えてやるから。 恐らく信じられないような内容を次々に口にするが、全部マジだ。きっちり理解しな」
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