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「アンタの友達だけどね、今ラビリンスではある計画が上がっている。噂とは言え信憑性は高い。ソレに巻き込まれたんだろう」
「『ラビリンス』ってラヴァースの事ですか?」
「ん?あ、そうか……言わなかったかい?通じているから、つい。
無界の迷宮に対する名称、因みに奴らの事は『ラビリシアン』
どう読んでも結構だが業に入っては業に従えってね、話を戻そう。
ラビリンスの奴らは花嫁を欲している」
繭海の顔付きが変わる。
その変化がシャオラスは愉しくて仕方ない
「なぜ螢なんですか?何の為の花嫁です?」
「さぁね?私はこちら側の人間だ、奴らの考えまでは解り兼ねるね。
この無界でもかなりの女達が消えてるって話を聞く。関係ない事じゃないだろ?奴らは女を集め、そして暗黒の花嫁を求めている。
こんな事言いたか無いけどね、アンタの友達ってのはガキだからと言っても安心してられないと思うよ。むしろ警戒しないとならない……恐らく一番の有力候補の立場に立たされているはずだ」
「!!」
シャオラスの根拠の無い指摘に凍りつく
皮肉にも今の繭海には、そんないい加減な発言が納得できてしまう
わざわざこちらの世界に喚ばれた螢は、最初から花嫁候補だった
つまり決定されていた?
『特別な者』
そして、死んでもおかしくないあの高さから落ちて生きている事実…
シャオラスが言っていた状況を組み足せば答は自ずと導かれる一つの確信
繭海はゆっくり顔を上げ静かに口を開いた
「シャオラスさん… 」
「なんだい?」
「たぶん螢は……――」
「‥‥」
淡々と呟く声を黙って聞く
繭海は視線を自分の手に戻して告げた
「螢は……錬術を使えます。それもかなり強力で危険な力」
それは体感した繭海が認めざる得ないコト…
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