夏の夜の奇妙な出逢い

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土曜日深夜、住宅街の狭い道路、街灯と街灯の合間の仄暗い路上に彼は鎮座して居た。 自転車の灯火に微かに照らされ、15m程度手前からソレと分かる佇まい。 彼の横を通り過ぎ様ふと視線をやると、ヒタヒタと数歩道路脇に向け歩いた。 その瞬間、奇妙な不自然さを感じ、自転車を停め振り返る。 『…?』 自転車の向きを変え再び近付く。 彼は更に数歩ヒタヒタと壁際に身を寄せる。 日頃見掛ける彼等の速度とは明らかに違い、遅い。 自転車から降り、携帯電話の撮影用照明を当てて驚く。 『…誰???』 見た事の無い種類だったが、在来種ではない事は直ぐに分かった。 不遇な軟禁生活で日々蓄積された鬱憤を胸に大脱出を図ったのか、遥か海の向こうの故郷を想い大脱走を図ったのか、世話を投げ出した無責任な給仕係が野に放ったのかは不明だが、彼はそこに居た…。 放置する事は出来ないと思い、取り敢えず警察に拾得物として届け出る事にした。 残念ながらオイラに彼の知識は無いので、安全の為直接手で触れない様にビニール製の買い物袋に追い込み、軽く袋の口を結び、帰路を逸脱し警察署に向かった。
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