第一章 ~隣の部屋の住人~

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第一章 ~隣の部屋の住人~

「うぎゃあああぁぁぁああ!!!」 壁越しに聞こえる叫び声。 俺はその声に叩き起こされた。 ムカムカする…… 毎日毎日毎日毎日毎日毎日この叫び声で起こされる。 まだ寝てて良い時間なのに…… 俺はそんな思いをのせた熱い拳をこれでもかと壁に叩きつける。 俺の思惑通り、壁が撓み激しく音をたてる。 若干手が痛いが少しだけスッキリした。 二度寝でもするか。 そんなことお構い無しに響くノックの音。 そうかいそこまで俺を怒らせたいのか…… 「すいません……また叫び声出しちゃって……」 一月前に隣に越してきた奴……たしか名前は 『魔王 ヒロシ』 歳は36とか言ってたか…… 見た目はただの優男だ。 ただ一つ目立つ物と言えばその口にある八重歯くらいか? 「あのさぁ……いい加減にしてくれないかなぁ……」 イライラと二度寝を邪魔された怒りを抑え、呆れながらも俺は言う。 これで何回目だったかなぁ…… 一月で…… あぁーもう忘れた。 「あっホントにすいません私は貴方の睡眠を邪魔する訳じゃなくてあのえと実はこれには訳が」 一息で……しかも早口、繋ぎがわからないから訳が分からない。 「……いいから落ち着いて話してくれないかな……」 頭を掻きむしりながら俺は呟く。 全く……凄いお隣さんが居たもんだよ……
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