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「で?」
俺の問いに対し彼は、「何が『で?』なんですか?」と生意気な口を聞いてきた。
「何がじゃ無くてさぁ……お前が魔王なら何が出来るんだよ」
「あぁー成る程! 私が出来ることですか? 私が出来ることなんて一瞬でこの星を消し去ることくらいですよ……他の力なんて山を吹き飛ばしたり、地獄の業火を召喚したり……実際にやってみましょうか?」
なに物騒なこと言ってんだこいつ!!
どうしよう!?
どうしたら――
「十分じゃありませんか?」
俺から出た言葉は、思ったより単純な物だった。
“切れさせたら消される。”
俺はただ、その時単純にそう思ったんだ。
それを踏まえて、俺は使う言葉を敬語へ訂正する。
「十分じゃ無いです! 両親やご先祖様は一瞬で宇宙を消し去る事が出来る程の力を持ってましたし……それに比べたら……」
待て待て……
凄すぎねぇかそれ。
だとしたら……
「おかしい……ですよね……? 今まで現れた魔王は勇者によって……」
「あぁ、それはですね? 両親やご先祖様は、自分の住む場所まで壊したくないから手加減して戦って殺されちゃったんですよ。 まぁ……いろいろあるみたいですが……」
そういうこと……?
最後の“いろいろ”が気になるけど、すっげ間抜けじゃぁん……
「だからあなたも……?」
「はい……実は……」
照れながら頭を掻くヒロシ36歳。
呆れすぎて疲れてきた……
いい加減帰って貰おうかな……
……うん。
そうしよう!!
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