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……――あの件から数分。ちゃぶ台の向こうでヒロシは口を開かず目を泳がせていた。
「で……? なに話って」
一体何度目の問い掛けだろう。
あんまり長居されても困るし、さっさと切り上げてもらわないと……
「あっえと……」
なんで目が泳ぎの速度が増すんだヒロシ……
「まさかと思うけど……何の気なしに話があるとか言わなかったろうな……?」
必然的に声が震える。まっさかまさか肯定なんかしないよね?
ねぇヒロシ君。
「あれ? 貴方も考えてること読めるんですか?」
「出 て け ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ え え え え え え っ ! ! ! ! ! !」
まさかの肯定ですよ!!
先程感じた恐怖も今はもう微塵も感じられない。
俺はヒロシの首根っこを握り、部屋から叩き出すとドアを閉め、丁寧に鍵も閉めてやった。
全く……さすがに温厚なオレもブチ切れましたよ……
「あのー……もし良かったら」
ドアの向こうでヒロシが話し掛けてくる。
「城……取り返してくれません? 貴方強そうだし」
「いい加減に――」
「――あっ!! お礼ならしますよっ! 意外に私財力ありますし」
遮られた言葉を聴き、逆上しかけた精神に静寂と安寧が戻る。
お礼……とな……?
「まっ……まぁ? お前がそこまで言うなら手を貸してやっても良いぜ?」
玄関を少しだけ開き、俺はそこにいるヒロシに向かい呟く。
しゃあない。もう少しだけ話を聞いてやろうか♪
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