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「いやー、明日がたのしみやね!」
翌日、つまり鈴本と出会ってから二日目の朝に浜田は脈絡なしにそう言ってきた。
いや、まったくない訳ではない。
「クラスマッチのこと?」
俺が訊き返すと、浜田は満面の笑みで頷いた。
明日は全クラス対抗で体育をする、クラスマッチと言う催しものがある。
中学という新しい環境に慣れるため、クラスメートと親睦を深めるためにあるらしい。
再来週にある三泊四日のふれあい合宿もそのためだろう。
体育の内容は毎年、それも学年によっても変わるらしく、今年の一年はサッカーをすることになっている。
とは言っても、女子はハンドボールだが。
全般的に体育が好きな浜田にとっては、はしゃいでしまうのは当然と言えば当然なのかもしれない。
「そう、そうっすよ! できれば野球が良かったんだけど、でもそれじゃあ俺達がぶっちぎりになっちゃうからそこは妥協しなきゃいけないしね! 本当、今日は眠れないかもしれない」
うっとりとした表情でそう言うと、浜田はわははと笑った。
と、思ったらいきなり真顔になって俺の目の前にその黒々とした顔を近付ける。
「で、昨日の悩みはどうした? まだ悩んでんのなら、相談に乗るぞ?」
「大丈夫、もう決めたから。サンキューな、心配してくれて」
言われて、俺は即答することができた。
「な、なんだよ気色悪っ! お前そんなキャラじゃないだろ?」
しかし、失礼なことに浜田には変な反応をされてしまった。
まぁ、別にいいか。
決めたことは本当だから。
三年前の化け物、コーラスは俺が必ず全て殺す。
そのために、memに入るのは悪い条件じゃないだろう。
組織ともなればそれなりの情報網は持っているはず。
この能力についても、三年前なにが起きたのかも、わかるかもしれない。
なら、たとえ悪の組織だとしても入団してやるさ。
復讐劇の開幕だ。
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