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Δ
「試験、か……」
放課後、俺は公衆電話から鈴本に入団することを伝えると、
「せやったら、試験を受けてくれへん? なぁに、あんさんやったら楽勝や思うで。せやから、な?」
とかなんとか言ってきやがった。
試験の内容は一対一でとある男と戦うこと、らしい。
場所は俺達が通う幸永(さきなが)中学校。
……戦う場所なんてどこでもいいと思っていたけど、なんでここなんだ?
今は夜の十時前。
試験開始は十時だから、そろそろどちらかがきてもいいはずだ。
というか、明日は全クラス対抗のクラスマッチなんだよなぁ…………早く帰ってゆっくり寝たい。
と、愚痴をこぼしていると後ろから二つの足音と気配……来た。
ゆっくりと振り返る。
そこにいたのはこの間と同じフードを被った鈴本と、ぼさぼさ頭の男。
……わかる。
強い、な。
「彼は長刺くん、君の相手や」
そう言って鈴本はそいつに片手を向ける。
お互いに軽く頭を下げると、それ以上の紹介はなく鈴本が試験の内容を説明し始めた。
「んじゃ、試験の内容を説明すんな。ルールは三撃先取の一本勝負。禁止ルールは一切なし。ただし、逃げるのはダメやで。学校の外まで逃げたら失格な。勝負が着いたとウチがと判断したら止めに入るさかい、遠慮なくやりなはれ。……あ、あと先にゆっとくけど、負けたら失格やなんてあらへんよ。二人の力がどんなもんか見るためのテストやけ、ね」
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