始まりの終わり

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 三年前のとある場所。  そこに佇むのは、一人の少年だけだった。  爆心地かとも思える広さを誇る、荒野と成り果てていたのは、ただの空き地。  そこには、二色の色彩しか残されてはいなかった。  一つは、異質の朱。  ただそこに撒き散らされただけの、大量の血。  そしてもう一つは、濃霧の闇色。  灰燼となり果てたそれは、怨念のように少年を包み込み、捕らえられる。  なにも見えない空は、涙を流すことを拒むように鈍い色をしていた。  少年を支え続けた足が、揺らぐ。  膝が、残り滓の残骸を踏み潰す。  見上げるモノは、曇天の空。 「うあああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!」  少年の絶叫は、誰の元にも届きはしなかった。
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