第1編

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"月詠(ツキヨミ)"の記憶    第1編 "月詠"ノ少女 夏休みの終わり、私は不思議な力に呼び寄せられたんだろうか。 引っ越しの作業が終わり、町をフラフラと歩いていた。 「…?」 目の前にある少し深い森。 「…ここに、何か、あるの?」 森の木々達がざわついている…。 私は森の中に足を踏み入れた。 しばらく歩いていると小さな祠を見つけた。 「…ッ!?」 首筋にチリッと痛みを感じ、押さえる。 何ッ、これ…!? この痛み、は…!? 疼く痛みを堪え、祠を見る。 「…ッ?」 何か…光った…? 祠の中を覗いた。 「…太刀…?」 刀、よりは短い剣。 何で、こんなモノが…。 ― 月詠の少女 ― 「…えっ?」 何、今の声…。 ― 私を扱う者よ ― 「……扱う…」 ……と、言う事は…。 「…太刀?」 私がそう呟くと、蒼く光った。 …何…これは…? 首筋の痛みは自然と消えていた。 ― 私を持つ資格がある者よ   運命に導かれるだろう ― 「…運命に…?」 私がそう呟いた途端、蒼い光は消えた。 森に、私一人と、太刀が残された。 あの声は、もうない…。 「……、なん、だったの…?」 太刀を見た私。 持ち手の部分に蒼い石が何個か埋められていた。 そして、柄の部分には蒼い蝶がついていた。 「………」 私はただその太刀を見てる事しか出来なかった。 けれど、ハッと我に返り辺りを見渡す。 誰も、いない…。 「………」 この太刀、私が持ってても良いのかな…? "私を持つ資格がある者よ"…。 確かに太刀はそう言った。 「…なら、私が持っていても、良いって…」 事…だよね…。 「…持っておこう」 何かがあるかも知れない。 もしかしたら、私の両親の事も…。 私自身の事も…。 「…でも…」 どうやって、持って帰ろう…。 こんなの持って、誰かに見つかったら、どう言い訳しても捕まるって…。 「…はぁ…仕方ない…」 頑張って、見つからないようにするか…。 …多分、無理だろうけど…。
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