【プロローグ その日が始まる】

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「……本当に助かるんだろうな」 「ああ」 「絶対か?」 「百パーセント、間違いない。保証する」 俺はコイツの目を見た。 よくはわからないが、とりあえず見栄を張ってるわけでも、虚勢を張ってるわけでもない。 あるのは物凄い自信だけだった。 「よし、わかった。お前と契約してやるよ」 意を決して瓶を包むように掴み、ゆっくりと祭壇のような形をした土台から外していく。 逆さにして中の水を全部捨て、ドバドバと水が足元に落ちた。 そして、手の中にソイツはいた。 体をぶるぶると震わせ、体に残った水を飛ばす姿は水から出た犬のようだ。 う~んと思い切り伸びをし軽く体を動かすと、大きく息を吸い込み、 「よっしゃあああああああ」 腹の底から鼓膜が破れんばかりの大音量で声を張り上げた。 いったいこの小こい体のどこからこれだけの声が出せるのか、と俺は声に出すことも頭の中で呟くことも出来なかった。 「ついに出られたぞおおおおお! ざまあみやがれ二代目がああああ!!」 なぜならコイツのとてつもない大声が、それらの行動を頭の中から吹き飛ばしたからだ。 「やっぱり外はいいぜ。瓶の中とは大違いだぜ。あとはこの洞窟から出るだけだな」 「ううぅ……」 「ああ、悪い悪い。思わず大声を出しちまった」 俺は微かに耳鳴りを覚えたものの、何とかコイツの声を小声程度で聞き取ることは出来た。 「んで、次は何をするんだよ」 「あとは契約だけだ。それがないとお互いここから出られないからな」 「どうやって契約するんだよ? 紙もペンも何もないぞ」 「ぺんってのはやからないが、そんなのいらねえよ。契約事態は簡単なものだ。お前が俺の血を、俺がお前の血を一滴飲む。ただそれだけだ」 「マジで簡単だな」 「契約なんてそんなもんだ。口約束の次に簡単なことだ」 とにもかくにも、俺はコイツと契約を交わした。 手元にも周りにも切れそうなものがなく、仕方ないとブツブツ呟きながらコイツが自分と俺の指に噛みつき穴を開け、互いに互いの血を一滴飲んだ。
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