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ひらり ひらり
舞い堕ちる雪は
肌に触れて
尚も綺麗な水になる
†粉雪†
如月の半ば、一年で一番気温が下がるこの時期。
大きな季節毎の移り変わりは見れないこの尸魂界も、季節を象徴する様な灰雲は空をしっかり覆っている。
「隊長~…雪降って来ましたよぉ」
「あぁ、二月だからな。」
「そぉじゃなくて、雪降って来ましたし…」
「……松本、何か約束があるならもう少しマシな理由を考えろ。」
「やだぁ~隊長、分かってたんなら言ってくれれば良かったのにぃ」
年にそぐわない様な眉間に皺を寄せ、終わっているのかも疑わしい書類をいそいそと片付ける副官を、諦めも含めた眼で見る。
「おい…その書類、勿論終わってんだろうな?」
「……やっぱダメですかね…?」
「当ったり前だ!!今日付けのヤツだけでいいから出してけ!」
「もぅ~隊長も我儘なんですからぁ」
思った通りにサボろうとしていた松本を叱責したのに、何故か逆にたしなめられる形になり、がっくりと肩を落とした。
「やだ、あと三枚もあるじゃない…」
「…………」
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