記憶の中の少年

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「………」 真っ白な部屋の中、世話しなく動き回る何人もの白衣の人間達を眺める。 目の前の機械を目を凝らして見つめる人、何種類もの薬品のビンを持って部屋を何度も何度も往復する人、僕の様子を観察する人…たくさんの研究者らしき人間、おそらく20人前後が僕の目の前で各々の作業をしている。 僕はといえば、部屋と同じく真っ白なベッドに手足を繋がれていた。 さっき射たれた注射のせいか、頭痛がする。 何故こんなことになったのかはわからない。 気付いた時にはすでに記憶を失って地下の牢に入れられていたから。 ただ一つだけ理解していたのは 僕はこんなことくらいでは死なない、ということ。 何の根拠もなく、記憶を失った頭がそれだけは理解していた。
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