「夢」ノ章.第1話

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  サチが、すぐに着替えて  手早く慣れた手つきで荷造りし 自分の勤める会社である  出版社『小学舎』に着いたのは 電話から2時間後だった    『ザワザワ』   「おっはよぅございまーす!」   サチは明るい声と共に 編集部に入るが 室内の 大勢の社員の喧騒に掻き消され 誰もサチの挨拶に気がつかない   まだ出版社の外は暗いが  編集部のあるフロアは すでに何人もの社員が働いて 今が早朝である事が嘘のようだ   「もー 朝から騒がしい編集部ね~」   大きな荷物を抱えて ひしめき合うデスクと社員達を 無理矢理押し退けながら  広い編集室内を自分の席に 向かうサチ   「あ、 サチちゃん!おっはよ~」    「おはよん!早いね」   自分の席に着くと 向かいの席で原稿を整理する サチと同い年で仲の良い女性が 挨拶してきたので 荷物を下ろしながら挨拶を返す   サチが担当するのは 小学生向けの学習雑誌の編集で 記事を解りやすく取材するのが 仕事だった   「そう言えば 編集長が呼んでたよ!」   「あぁ! うん、行ってくる」   仲の良い女性の指摘で 朝から出勤した目的を思い出し 来た時の様に社員を掻き分け 編集部の奥へ進む
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