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サチが、すぐに着替えて
手早く慣れた手つきで荷造りし
自分の勤める会社である
出版社『小学舎』に着いたのは
電話から2時間後だった
『ザワザワ』
「おっはよぅございまーす!」
サチは明るい声と共に
編集部に入るが
室内の
大勢の社員の喧騒に掻き消され
誰もサチの挨拶に気がつかない
まだ出版社の外は暗いが
編集部のあるフロアは
すでに何人もの社員が働いて
今が早朝である事が嘘のようだ
「もー
朝から騒がしい編集部ね~」
大きな荷物を抱えて
ひしめき合うデスクと社員達を
無理矢理押し退けながら
広い編集室内を自分の席に
向かうサチ
「あ、
サチちゃん!おっはよ~」
「おはよん!早いね」
自分の席に着くと
向かいの席で原稿を整理する
サチと同い年で仲の良い女性が
挨拶してきたので
荷物を下ろしながら挨拶を返す
サチが担当するのは
小学生向けの学習雑誌の編集で
記事を解りやすく取材するのが
仕事だった
「そう言えば
編集長が呼んでたよ!」
「あぁ!
うん、行ってくる」
仲の良い女性の指摘で
朝から出勤した目的を思い出し
来た時の様に社員を掻き分け
編集部の奥へ進む
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