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この広い編集部の奥には
サチの上司に当たる
先ほど電話してた編集長が居る
だが今は
半端じゃない高さに積もった
原稿や資料に埋もれて
編集長も机も見えなかった
「編集長~
おはようございま~す」
「ん、サチか?
まったく…やっと来たか!」
それでも机まで辿り着くと
書類の山の隙間から
編集長が見えたので挨拶する
「やっと来たかって…
早朝いきなり呼び出されて
22歳の娘さんなんだから
それなりの用意もあります!」
「おぃおぃ…自分で
22歳の娘さんとか言うか?」
サチは
わざと今着ている白いコートを
見せびらかす様にヒラヒラした
だが、
呆れた顔をしながら
皮肉っぽく編集長が言うので
コートをヒラヒラは止めた
「と、とにかく
急に京都に行けって
何かあったんですか?」
サチは
京都で新撰組の取材は嬉しいが
ずっと気になる疑問を、
椅子に座り書類に囲まれながら
冷たくなったコーヒーをすする
編集長に聞いてみた
「うむ…
今日、取材予定だった
『篠田やそ』さんがな…
入院先の病院から脱走して
行方不明なんだよ」
「はぁ!?脱走!?」
ア然とするサチを無視して
編集長は冷静だ
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