第2章 -二人の間-

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    『10時に高校前のコンビニ集合』      そんな単調な本文を書き終え、僕は一呼吸おいてから送信のボタンを押す。そして送信できたか確認する前に携帯を閉じ、床に転がっているクッションに投げ込んだ。    大丈夫。メールを送っただけでも合格だ。うやむやにしなかっただけでもいい。僕はよくやった。    そんな呪文みたいな自己暗示みたいな言い訳を頭の中で繰り返し、枕に顔を埋める。     「カッコ悪……」      心の声が口から出てしまうとなんだかホントに悲しくなって、思考を停止した。    ベッドの上での思考の停止はつまり寝るということ。    薄れゆく意識の中で微かに聞こえたのは、僕が好きなラウドロック歌手の悲恋の歌、高梨からのメールの着信音だった。
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