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どうやら僕はゲームばかりしていると思われているようだ。まぁ実際その通りだから文句は言えないのだが。
「やることがないからしてるんだよ。だからさ、誰か僕を忙しくしてはくれないだろうか?」
依然机に突っ伏したまま、僕は声の方向にひらひらと手を振ってやった。手の方向には僕の友人である純哉がいて、『じゃあ明日もいつものやりますか?』と僕をビリヤードに誘ってくる。それがいつものパターン。何の変哲もあったものじゃあない。
……でもあれ? おかしい。返答がない。
ミノさん並のタメを見せる純哉。もしかしたら本気で断る気なのではという不安から、もう僕はドキドキが止まらないです。
「なんだね、僕じゃあダメなのかい」
とかふざけてみるが、別に断られても家でオンラインのチェスをやるだけのこと。ドキドキも何もないから早いとこ言って欲しい。
そんな事を考えていると、思わぬ方向から思わぬ声。
「神田君……行ってくれるの?」
途端沸き上がる女子達の歓声。
……え?
……え!?
……ええっ!!?
僕の上の名前を呼んだのはなぜか純哉ではなかった。しかしその声にも聞き覚がある。
先程僕の眠りを妨げていた女子生徒の一人。
高梨葵。
クラスメイトだ。
「あらやだ創志くんたら、そんな積極的な子だったのね」
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