第1章 -偶然の掌-

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 どうやら僕はゲームばかりしていると思われているようだ。まぁ実際その通りだから文句は言えないのだが。   「やることがないからしてるんだよ。だからさ、誰か僕を忙しくしてはくれないだろうか?」    依然机に突っ伏したまま、僕は声の方向にひらひらと手を振ってやった。手の方向には僕の友人である純哉(じゅんや)がいて、『じゃあ明日もいつものやりますか?』と僕をビリヤードに誘ってくる。それがいつものパターン。何の変哲もあったものじゃあない。    ……でもあれ? おかしい。返答がない。    ミノさん並のタメを見せる純哉。もしかしたら本気で断る気なのではという不安から、もう僕はドキドキが止まらないです。   「なんだね、僕じゃあダメなのかい」    とかふざけてみるが、別に断られても家でオンラインのチェスをやるだけのこと。ドキドキも何もないから早いとこ言って欲しい。    そんな事を考えていると、思わぬ方向から思わぬ声。   「神田(かんだ)君……行ってくれるの?」    途端沸き上がる女子達の歓声。      ……え?      ……え!?      ……ええっ!!?      僕の上の名前を呼んだのはなぜか純哉ではなかった。しかしその声にも聞き覚がある。   先程僕の眠りを妨げていた女子生徒の一人。      高梨葵(たかはし あおい)。      クラスメイトだ。     「あらやだ創志くんたら、そんな積極的な子だったのね」
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