誰も知らない街

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どうして、こうなってしまったのだろうか… 先ほどまで座っていたレストランに、再び舞い戻ってしまった。 目の前には豪快に食べる彼。 どれほど空腹だったのかと思うくらいに、一言も発する事なく食べ続けている。 早く出たいな… そう思ったのと、彼が食器を置いたのは、ほとんど同時だった。 『ごちそうさまでした』 そう言って、顔を上げた彼の表情は、数分前よりも元気になっていた。 『じゃあ、出ようか』 伝票を持ち、歩きだしたあたしの後ろから、小走りで近寄ってくる足音が聞こえてきた。
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