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「明日香ちゃん、誰だったの?」
礼は首を傾げながらも自分では見ようとはせずに明日香に尋ねる。
「あれは宮下新一(ミヤシタシンイチ)」
明日香がそう答えると礼が急にポケットから黒い手帳を取り出して。
「宮下新一。性別は男、年齢17歳、生年月日は11月18日、身長169センチ、体重55キロ。家族構成は両親と姉二人、長女が大学3年生、次女が高校3年生ね。私たちと同じ2年3組で性格はあまり喋らない、友達が少ない、影が薄い、と三拍子揃ったパッと見根暗な眼鏡君」
これこれ。
いやぁ、礼のこれを見るのは初めてではないけれども、いつ見てもすごい。何か口調も変わっちゃうしねー。
礼の手帳の実態がとても気になるけど、どうなってるの?とはまだ聞けずにいる私。
「宮下君がどうかしたの?」
礼が手帳をポケットにしまいながら私に言う。
「あのさぁ・・・・・彼をその、人気者にしたいんだけど・・・」
これは彼を見た瞬間に思ったことだった。
私は彼が顔もそうだけど人を惹き付ける何かをもっている人だと感じた。
「えぇ?なによ、それ。プロデュースみたいな?」
明日香が笑う、少しバカにした笑い方。
私はそれに笑い返すことはなく、まっすぐ明日香ではなく礼を見た。
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