七子

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七子はゆっくり話を続けた…。 『この神社でお祭りが行われていたの。出店も並んで賑やかだったけど…私はなんか苦手で隠れてたわ。そしたら小さい女の子が私を見付けたの。ビックリして逃げそうになったけど…あまりにもあどけなく微笑む女の子に背を向ける事は出来なくて…差し出した小さな両手の方に近付いてみたわ。そしたら慣れない手つきで私を抱き上げ…そのまま家に連れて帰られたの。首輪をしてなかったからすぐに捨て猫だと思ったみたいね。最初は幸せだったわ。食事は豪華だし女の子もその両親も遊んでくれて…。お風呂は苦手だったけど…せっかく綺麗になったんだから久々におばあちゃんに会いに行ってみよう!と思って外に出ようとしたけど………。 私を飼ってる事は他の住人に内緒にしてるらしく外には一歩も出してもらえなかったわ…。そんな日々が何年か続いた…』 六助は言葉が出なかった。なんて言ったらいいか分からない。 七子は少し上を見上げながらまた話始めた…。
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