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神社に戻ると、いつものおばあちゃんが待っててくれてた。
『今日は遅かったね、遠くまで冒険してきたのかい?』
ニッコリ笑うと少し待ちくたびれたように包み紙を開けた。
『お腹すいただろ?』
タカおばあちゃんは『一人では食べ切れなかった』食事(つまり余り物)を毎日持って来てくれる。
今日は小さなオニギリと少し湿気たお煎餅だった。
歯にくっついたお煎餅を取ろうともがいてたらタカおばあちゃんはクスクス笑いだした。
『六助』と名前を付けてくれたのもタカおばあちゃんだ。
どうやら、この神社に捨てられた六番目の子猫らしい。
最近までいた他の猫達はいつの間にかいなくなり、今は六助だけがタカおばあちゃんの『話し相手』だ。
『最近は暑くなったり…急に寒くなったり…どうしたもんかねぇ』
などと、たわいもない話を六助に語りかけてくる。
『六助、さっきの桜吹雪は見たかい?それはそれは見事な景色じゃったよ…』
そうだ!桜吹雪…!
あの白い猫は何処に行ったんだろう…
『ねぇ、聞いて、タカおばあちゃん!さっきね、白い猫見たんだけど…』
話しかけれない自分が辛かった。
僕もタカおばあちゃんに話がしたかった…。
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