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あの静かでのどかな日から数カ月経った。 昼には蝉が、夜には蛙の鳴き声が賑やかだ。 そんな中、六助には心配事があった。 深刻な心配事だ。 ここ数日、タカおばあちゃんが来ない。 人間の世界では『熱中症』というものが流行っているらしい…。 そういえば最近、嫌になるくらい暑くなるし救急車の音もよく耳にする。 『…タカおばあちゃん…』 いつもタカおばあちゃんが座ってた場所で今日も六助は待ち続ける。 ものごころ付く頃にはタカおばあちゃんと出会ってた六助は、ご飯の調達の仕方を知らない…。 たまに参拝客にこびてみるが食事になるような物は誰も持っていなく… よくて小さい袋に入った景品のお菓子くらいだ。 そんな日が何日も続き、六助はとうとう動く力さえ出なくなった…。 容赦なしに照り付ける太陽…。 木陰に移動したくても力が出ない…。 『…僕はこんなにタカおばあちゃんに甘えてたんだ…。僕の力だけでは生きる事すら難しいのかな………ねぇ…どう思う?タカおばあちゃん………』 まぶたが閉じかけ、スッと力が抜けそうになった………その時!! 誰かが六助の首を噛み上げ、風のあたる静かな場所まで連れて行った…。 そして捕りたての鼠を六助に差し出した。 『あなた、あのままじゃ死んでいたわよ?さあ、これあげるから食べなさい。』 優しい声の方を振り向くと、そこにはあの時の白い猫がいた。
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