七子

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初めて見る鼠の死骸に六助は戸惑った…。 白い猫は『早く食べろ』と言わんばかりに六助の方に押しやってきた。 『…もしかして、食べた事ないの?』 六助は恐る恐るうなずいた。 『…私も少し前までは捕まえて転がして遊ぶだけだったけど…今では大事な食料なの。さあ、食べなさい。』 『鼠が?食料?』 不思議な感覚だったが六助は一口食べてみた。 あまりにもお腹が空いていたのでそのままの勢いですっかり食べつくしてしまった。 その様子を見て微笑みながら六助に声をかけた。 『どう?慣れたら案外イケるでしょ?…それより、どうしてあんな所で倒れてたの?あなた野性ではないわよね?鼠も食べた事ないんなら。迷い猫?私は七子。この神社に通っているおばあちゃんが付けてくれた名前よ。』 少しづつ元気が出てきた六助はその猫を見上げてドキッとした。 今は少し痩せているが、あの桜吹雪の中にいた白い猫だ!しかもタカおばあちゃんを知っている!! 『…僕は六助。僕の名前もタカおばあちゃんが付けてくれたんだ。』 七子は不思議そうな様子で六助の話を聞いていた。 ここにいればタカおばあちゃんから餌が貰えてるはずだ。 七子は恐る恐る六助にきいた…『タカおばあちゃんは…?』 六助は分かっている範囲で一生懸命事情を話した。 小さい頃からここでタカおばあちゃんに育てられた事。そのタカおばあちゃんが急に来なくなった事…。 話を聞き、最初は少し取り乱した様子だった七子も次第に落ち着きを取り戻した。 そして自分の事を話始めた…。
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