1説

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正門を入ってしばらく歩いていると、ふと後ろから誰かの声が聞こえる。 「おーい双蒸院(そうじょういん)君ー希理ちゃーん、それに時美ー」 その声に俺達がゆっくりと後ろを振り向くと、もの凄い勢いでこっちにめがけて走ってきている女の子がいた。 「朝から元気ねーあの子は……」 「まったくどこからあんな元気が来るのやら」 「凄い……」 と三人で言っていると、先ほどの女の子はスピードをゆるめて止まり始めた瞬間、下にあった石につまずき顔面からこけて、そのまま俺達の前まですべってきてピタリと止まった。   しばらくの間、沈黙が続き。 「大丈夫……かな」 希理が女の子の前にしゃがみこんで顔をのぞこうとしている。 「おーい生きてるかー?」 「大丈夫じゃないと思うけど……大丈夫か、未紗(みさ)?」 みんながそれぞれ声をかけていると、がばっと顔を上げたと思ったら、すくっと立ち上がり笑いながら……。 「おはようです双蒸院君、希理ちゃん、時美」 「おはよう……ございます」 「う、うん、おはよう」 「おはよう、だけど大丈夫か未紗、はでにコケたけど」 「うん……ちょと顔中痛いけど、大丈夫だよ」
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