五月病

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管理人の訪問があってからも、私は郵便物を取りに外に出ようとはしなかった。 会社のみならず、何時の間にか外に出ることすら億劫になっていたのだ。  私はそんな状況の中漸く居心地のよい場所を見つけることができた。 そこは私の住むこの部屋にあった。 押入れだ。 昔、TVアニメでドラえもんなんて言うロボットが押入れで寝ていたことを思い出すと少し笑えたが“ドラエモン”の気持ちが少し分かったような気がした。 狭くて足ものばせないような、襖の隙間から入ってくるわずかな光が、私にとって最高の環境であった。 私は次第に押入れで過ごす時間が多くなっていった。
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