先輩の本音

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晴は顔についたクリームをタオルで拭いながら あたしを指差した。 「少なくとも、結城くんはお前のこと可愛いって思ってるだろ」 「それはどうかな。情けで付き合ってもらってる感じがあるけど」 「自分の彼氏信じろよ」 信じる………。 そんなこと わかってるよ。 だけど自分が嫉妬深くて、信じる気持ちすら忘れてしまう。 せめてワガママが言えたら……。 「何 難しく考えてんだよ。 お前がワガママ言えば、結城くんは聞いてくれるだろ?」 「だから言えないの」 「なんで」 「ワガママ言えば、余計にいじめが酷くなるし」 「いじめのこと、結城くんに言えばいいじゃん」 「それが言えたら苦労なんかしてません」 あたしは晴を軽く睨んだ。 晴は盛大なため息をついて首を横に振った。 「ほんと、マジお前うっとうしいわ」 「お前の方がうっとうしいっつうに!!」 あたしはカバンを持って立ち上がった。 これ以上コイツと話してても らちがあかない。 「あたし帰る」 「今度来る時は嘉穂ちゃんも一緒に連れて来いよ」 「嘉穂はアンタなんか相手にしないって」 「わかんないよ? 結城くんがお前みたいなチンケなヤツを相手にしたような奇跡がおきるかも」 「黙れよ お前」 あたしはため息をついてバイト先を後にした。 .
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