先輩の本音

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「なんで泣いてんだよ」 ‐ビクッ‐ 口調が変わった。 いつもの結城じゃない。 「結城……?」 「なんで言ってくれねぇんだよ!!」 結城の悲痛な叫び。 やめて。 そんな事 言わないで。 あたしは弱い人間だから あなたに頼ってしまう。 そんなの嫌なの。 なのに……。 「言えよ……」 そんな悲しい声で言われたら 我慢できなくなるよ……。 あたしは結城の背中に回そうとしていた手を引っ込めた。 「言えない……」 「千夏!!」 言えるわけない。 結城には幸せでいて欲しい。 学校の人達を嫌わないで、幸せでいて欲しい。 「結城、また明日ね」 そう言って あたしは結城から離れて走った。 涙が止まらない。 溢れて溢れて 止められない。 あたしは家まで涙を流しながら走った。 .
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