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携帯をベッドに放り投げて枕に顔を埋める。
結城、怒ってるだろうなぁ。
勝手に理由も言わずに帰って。
あたしは携帯を手に、家を出た。
ちょっと散歩でもするかな。
そう思って歩き出した。
子供がいない住宅街って、こんなに静かなんだ。
関心していると、公園でどこかで会った人物を発見した。
あ。
あの人………。
「山田先輩……」
無意識のうちに声を出していた。
その声に気づいた先輩があたしを振り返る。
「千夏ちゃん?」
しまったと思ったけど もう遅い。
あたしは仕方なく山田先輩に近づいた。
「何してるんですか?」
「朝起きたら完璧に遅刻だったから、仮病使って休んだの」
そう言って先輩は笑った。
「千夏ちゃんは?」
「あたしも似たようなもんです」
「そっか」
あたしと先輩はベンチに座ったまま無言で時間を過ごした。
気まずい。
果てしなく気まずい。
何か話題を探さなきゃ。
そう思って考えていると、先輩が空を仰ぎながら話し出した。
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