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きっと結城は あたしより先輩を選ぶ。
だって、こんなに良い人はいないもん。
あたしは堅く目をつぶった。
「千夏ちゃんが結城くんと付き合って幸せじゃないって言うなら
結城くんを あたしにちょうだい?」
‐ドクン‐
心臓が跳ねたのがわかった。
それと同時に目の前が真っ白になる。
何を言ってるんだ この人は
と思うあたしと
この人に結城を譲るべきだ
と考えるあたしがいる。
あたしは先輩の問いに答える事が出来なかった。
「でも、誰と付き合うかは結城くんが決める事だもんね。
だから、正々堂々と千夏ちゃんと戦うね。あたし」
先輩はうつむくあたしの目の前に立った。
そして手を差し伸べてきた。
「じゃあ、とりあえず
あたしからの宣戦布告って事で。お互い頑張ろうね」
そう笑顔で言う先輩に あたしは先輩の手をとらなければならない気持ちになった。
あたしが手を出すと先輩は握手をして「またね」と笑顔で帰って行った。
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